創業したての会社が法人の銀行口座を開設するのは簡単ではありません。
業績が無いから信頼も無い。
その上、振り込め詐欺などに法人口座が使われたケースがあったらしく、審査が厳しくなってきているそうです。
ネット上でも「ネットバンクでさえ全滅した」というような嘆きも見られます。
そんな中、私は創業1ヵ月未満で信金1つ、ネットバンク2つの開設申請をして全て通過しました。
今回は「こうしたから審査に通ったのではないか」というポイントをシェアしたいと思います。
私の会社の概要
まず、私の会社についてざっと説明しておきます。
会社形態
役員が代表の私一人だけの合同会社です。
業種
不動産賃貸業です。
創業し立てですから、物件は一つも持っていませんし、収入もゼロです。
資本金
資本金は50万円です。
「資本金が少ないと信頼されないから最低でも100万円はあったほうがいい」と言っている人が結構いますが、50万でも大丈夫でした。
さすがに1円とかだと難しいのかもしれませんが、その他の条件次第かもしれません。
法人の住所
実際に私が住んでいる住所です。
バーチャルオフィスの場合は厳しいと聞きますが、ここの部分は検証できませんでした。
電話番号
家に電話を引いているのですが、妻の実家に同居していて私の電話ではないので、自分の携帯の電話番号を使いました。
家の電話番号だと信頼度が高くなると言われています。
・・・とこんな感じで、住所が実住所だという点以外は信頼度的にはかなり低いと言わざるを得ない状況のため、「銀行口座さえ開けなかったらどうしよう?」とかなり心配しながらの作業でした。
それではいよいよ、どうやって口座を開設していったかを詳しく説明していきましょう。
ジャパンネット銀行
私は会社設立freeeを使って会社を設立したのですが、最後にいくつかの銀行を勧めてくれます。
私はとりあえずこの中からジャパンネット銀行の口座申請をしました。
ちなみに、会社設立freeeから口座開設ページに行くと、口座開設申込書のかなりの部分が既に入力されていて楽でした。
会社設立freeeを利用してない方はジャパンネット銀行法人口座開設から開設できます。
申請に必要書類は以下の通りです。
- 口座開設申込書
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 業務内容確認資料
1番と2番は楽勝ですが、3番が問題です。
業務内容確認資料
業務内容確認資料で提出するものは以下のように状況によって異なります。
個人事業をやっていて、既にホームページがある場合は楽になりますが、私の場合、ホームページが無いので「A. 会社実態の確認資料」と「B. 事業内容の確認資料」が必要になりました。
会社実態の確認資料
「会社実態の確認資料」で要求される資料は法人の設立が完了していれば既に持っているはずなので全然問題ありません。
私は税務署で貰った、「法人設立届出書」の控えを提出しました。
事業内容の確認資料
問題はこの「事業内容の確認資料」です。
私の場合、許認可証も会社案内もパンフレットも何もありません。
そういうわけで、「会社概要フォーマット」なるものを書くことになりました。
以下は記入例として提供されていたものです↓
「事業運営されていることを確認するための資料」とのことですが、いや、私の法人、設立したばかりで運営も何も無いんですけど!(笑)
仕方がないので、「取引商品・サービス・内容」「価格・購入方法」「ターゲット層」「その他」の欄に「こんなビジネスをやっていくつもりです!」ということを書きました。
「主要取引先」には、「こんな業者やサービスと連携していきたいと思っています」ということも書き、それらのURLも書いておきました。
どれも一つも実現していない、「こうしていきたいな~」という、計画とも呼べないようなのものでしたが、その時に考えていることを上手くまとめて書きました。
口座開設手続き完了のお知らせが届く
口座開設の申請時に、「現在お申込者が多いため受け付けに時間がかかります」と書かれていましたが、申請から2週間ほどで手続き完了のお知らせがメールで届きました。
なぜこんな信用の無い法人の審査が通ったのかは分かりませんが、やはり会社の概要を丁寧に書いたのが良かったのではないかと思います。
この概要で書いたことは後になって色々と調査していくと実現していくのは難しそうな計画だったのですが、銀行はそこまで詳しいことは調べないでしょうから、「きちんと考えていそう」という姿勢が伝われば良いのではないかと思います。
ネットバンク以外の銀行口座
口座を作る際に、ネットバンクとネットバンク以外の口座を最低でも1つずつ持っていると良いという話を結構ネットで見かけます。
ネットバンクではない金融機関の口座が必要な一番大切な理由は日本政策公庫から融資を受ける際に融資の受け取りにネットバンクを使えないことです。
私も今後、公庫からの融資を期待しているのでネットバンク以外の口座は是非1つは持っておきたいところでした。
知り合いから信金を紹介してもらう
「じゃあどこの銀行で作ったらいいのか?」と考え、1ずつ銀行を訪ねていこうかとも思ったのですが、ふと思い立って、自営をしている知り合いにお勧めの銀行があるか聞いてみると、地元の信金を勧めてくれ、親しくしている担当者に連絡までしてくれました。
すると、1時間もしないうちにその担当者の方から「これから伺ってもよろしいですか?」と電話があり、なんと、自宅まで来てくれました。
その場で30分程度、自身のことを含めた雑談と会社のこと、どんなことをして行きたいかなどを話しました。
あと、上のジャパンネット銀行の申請の時に作った会社概要をワードで編集して印刷したものを渡しました。
結局、その場で「口座開設しますよ」ということになり、拍子抜けするほどでした。
口座が簡単に開設できた要因
これほど簡単に事が進んだのは、以下のような要因だと思います。
- 知り合いからの紹介
- 信用金庫
- 家に来てもらう
- 事業計画
まず、紹介者がいたら最強だと思います。
紹介者がいるというだけで信用力アップです。
そして、信用金庫だということ。
信金は地元の企業を積極的に応援してくれますから、その信金のエリアに住んでいて法人も同じ場所となれば大いにプラス材料となります。
担当者が家に来てくれた一つの理由は恐らく「どんな家に住んでいるのか?」ということを知りたいからでしょう。
家と本人の人柄などを見て信用できるか決めていると思います。
そして、事業の計画の話をするだけでなく、概要まで提出できたのもプラス材料だったと個人的には思っています。
後になってその担当者の方から、結構ユニークだし今後重要になってくる事業で興味深いと言われました。
また、今回は口座の開設だけでしたが、今後の融資の可能性についても積極的にして貰えそうな感触を得られました。
そういうわけで、銀行口座の開設は自営などをしている知り合いがいる場合は銀行の担当者を紹介してもらえないか聞いてみるのが近道でしょう。
住信SBIネット銀行
冒頭で紹介した「会社設立freee」で紹介されている銀行の一つの住信SBIネット銀行にも口座開設の申請を出しました。
「ネット銀行の申請は審査に落ちることを想定して、(一つ一つ結果が出てから行動していると時間がかかり過ぎるため)複数の銀行に一気に申請するほうが良い」とネットに書かれていたので、ジャパンネット銀行の結果が出る前に住信SBIの申請も行いました。
住信SBIでは「口座開設申込書」「本人確認書類」「法人番号指定通知書」を郵送するだけで、ジャパンネット銀行のように事業概要を求められませんでした。
何度も言っている通り「信用度ゼロ」の法人なので、「審査に使われる情報がこれだけなら落ちるなこりゃ」と思いつつ書類を郵送しました。
住信SBIの結果を待っている間にジャパンネット銀行の口座が開設できたので、「住信SBIのほうは落ちてもいいや」くらいに考えていました。
質問のメールが来た
すると、申請から2週間弱くらいで以下の質問に答えてくださいというメールが届きました↓
(1) 御社の主要な事業内容についてお知らせください。
(2) 御社の実店舗がある場合、ご住所をお知らせください。
(3) 御社のWEBサイト(コーポレートサイト・サービスサイトなど)
(4) 御社の主要なお取引先があれば、団体名や会社名などをお知らせく
(5) どのようなお取引を中心に当社口座をご利用予定かをお知らせくだ
(6) 御社のご名義で以下のいずれかの銀行に口座をお持ちでしたら、支
・三菱UFJ銀行 支店名( ) 口座番号( )
・三井住友銀行 支店名( ) 口座番号( )
・みずほ銀行 支店名( ) 口座番号( )
・りそな銀行 支店名( ) 口座番号( )
・上記の銀行口座をお持ちでない場合、その他の銀行で主にご利用
銀行名、支店名および口座番号をお知らせください。
銀行名( ) 支店名( ) 口座番号( )
例のごとく、実績ゼロの法人ですから、ジャパンネット銀行の時と同じく、私の頭の中にある計画(もどき)を書き連ねました(笑)
ジャパンネット銀行の申請時と違ったのは、既に持っている銀行口座の情報を書く箇所があったことです。
ここには既に開設が完了していた信金の情報を書きました。
口座開設完了通知が届く
結局、上の質問に回答してから5日後に手続き完了のメールが届きました。
口座開設の申請から合計18日かかりましたが、住信SBIでも口座を作ることが出来ました。
銀行口座を作ってみて思ったこと
色々とネットの情報を見て心配していましたが、こんな感じで創業1ヵ月、信用度ほぼゼロの法人でも一つとして拒否されることなく3つの銀行口座を開設することが出来ました。
ジャパンネット銀行→信金→住信SBIという順番でしたが、思いも寄らずこの順番であったことが幸いした気もします。
ジャパンネット銀行で会社概要を書き、信金の担当者にその概要を利用して説明し、住信SBIで信金の口座を既に所持している銀行の口座として申告できたわけですから。
そして今回、銀行口座を作ってみて重要だと思ったことは、知人からの紹介です。
紹介最強!
もう一つ重要なことは、会社の事業概要を書くこと。
これを銀行提出を目的として書けたことは中々良かったと思います。
私などは特になのですが、自分用にメモ帳などに計画や考えを書こうとすると中々うまく書けません。
自分しか見ないと思うとなんか力が入らないんですよね(笑)
でも、銀行に提出するとなると俄然、力が入ります。
そして、これが頭の中にあるものを整理するのにとても役立つのです。
なので、銀行向けに事業概要を書くことは一石二鳥なわけです。
私の体験は以上ですが、この情報が少しでもこれから創業し立ての法人の口座開設をする方の役に立てれば幸いです。
会社設立は会社設立freeeで行うとスムーズです。
>>会社設立freeeで不動産賃貸業の合同会社を設立したので手順を一から解説。