今回は私が日本の歯医者に大きな不信感を抱いた一件についてです。
海外に住んでいる人だけでなく、日本に住んでいる人にも読んで欲しいと思います。
海外在住者の人で良く聞くのが、「海外の歯医者は保険でカバーされないから高い!虫歯治療は日本に帰るまで我慢する」というもの。
こういう人達は一時帰国時に健康保険を使うためだけに住民票を入れて歯医者に行き、日本出国時に住民票を抜きます。
こうすることで健康保険料を払わずに安い治療だけを享受できるというわけです。
そのやり方自体は違法ではないにしても、いい気分がしなかったので私はやったことが無く、いつもオーストラリアの歯医者に診てもらっていました。
結局のところ、私のこの選択は正しかったことが分かりました。
海外在住者の人は安いからと言う理由で無暗に日本の歯医者に行くのはやめたほうが良いです。
私の実体験と共にその理由を説明しましょう。
私の虫歯歴
私はオーストラリアに行って4年目くらいに神経まで行く虫歯が出来てしまった経験があります。
食べ物を噛んだ時に痛みがあるなと自覚して歯医者を予約したのですが、診察の前日の夜に眠れないほど歯が傷み出して文字通り痛い目に遭いました。
次の日が予約の日ですぐに治療してもらえたのは幸いでした。
結局、神経を抜いて治療が完了するまでに半年もかかり、費用はクラウンも含めて約3000豪ドル(約25万円くらい)もかかりました。
それ以来、大反省して評判の良かった日本の超音波歯ブラシを買ってきて毎日きちんと歯を磨き、半年に一度は必ず定期検診に行き続けました。
さらにここ数年は歯磨き後にフロス(糸ようじ)を欠かさずしていました。
お陰で、この13年間は治療しなければならない虫歯はゼロで、いつも「よく磨けているね」とかかりつけのオーストラリアの歯医者に言われていました。
そんな感じで、日本に帰ってきてから家の近くにある歯医者に検診に行きました。
「今まで通りきちんと手入れしているから虫歯は無いだろうけど、きちんとかかりつけの歯医者も作っておかないと」という軽い気持ちで行ったのですが・・・
日本の歯医者で虫歯が13本も見つかる!
はい。↑の通りです。
2回目の通院で、虫歯がある歯が〇で囲まれた私の口腔内のカラー写真を見せられ、「丸が書かれているところが虫歯になっています」と言われました。
その数、なんと13本!
前回、オーストラリアの歯医者で「治療が必要な虫歯はありません」と言われたのはたった6か月前のことです。
歯磨きとフロスも同じようにやってきたのに、この半年でいきなり13本もの虫歯ができるというのはにわかには信じられません。
もう本当にびっくりでした。
さらに、同じくオーストラリアの歯医者に診てもらっていた私の妻も「12本虫歯があります」と言われました!
こうなると考えられる原因は二つ。
この歯医者がおかしいか、オーストラリアの歯医者がおかしいかです。
虫歯の数を教えられた後、「全部削って詰め物をする必要があります。詰め物は色々種類があってここから選べます」と言われ、それぞれの値段が書かれたリストを見せられました。
保険が適用されるのは銀歯とプラスチックで一本2000円程度。
それ以降は保険が適用されず、自費治療になるもので、下は2万円から上は5万円くらいまであったと思います。
保険が適用されるとはいえ、今時アレルギーの原因となる銀歯とか使っているのは先進国では日本くらいじゃないでしょうか?
その料金表の写真を撮らせてもらえないか聞いたのですが、企業秘密?らしく、許可されませんでした。
ちなみに、歯医者が勧めてきたのは3万円くらいのやつだったと思います。
3万円と言っても一本の値段ですからね。
もしこのコースを選んだとすると、私と妻で25本×3万円で75万円もかかることになります!
「早速、次回の治療の予約をしましょうか?」と言われたので「いやちょっと待ってください」と保留して帰ってきました。
日本の歯医者の闇
あまりにもおかしいので、家に帰ってすぐにネットで調べてみて分かったのは、日本の歯医者は儲けを出すために治療の必要がない歯を抜いたり削ったりするということです。
詳しくは「歯医者にダマされて はいけない 「削る」「抜く」はもはや時代遅れ 虫歯・入れ歯の常識はこんなに変わっていた」を読んで欲しいのですが、要点を以下にまとめます。
初期の虫歯でも発見すれば削って治療してきた背景には、実は歯医者の裏事情も大きく関係している。なぜなら、「削る・抜く」といった処置は診療報酬が高く、歯医者にとってもメリットが大きいからだ。
歯科業界が、保険診療だけで収入が得づらくなっているのは確かです。
(中略)
自由診療に誘導するケースは珍しくありません。『自由診療』ということは、料金は基本的に自由に設定できるということです。そこで、患者との会話の中で、当初は高めに伝えておいて、『特別に値引きしますよ』などとお得感を演出する。すると、患者もついダマされてしまうんです。これは最近の歯医者の常套手段です。
また、一度で済む治療に何度も通わせて稼ぐパターンもありますね。そもそも、削れば削るほど歯は悪くなり、何度も歯医者に通うことになる。長期的に考えれば、自由診療ではありますが最新の『削らない治療』を受ける方が、結果としてコストが安く済むこともあります。
つまり、保険診療では儲からないから儲かる自由診療での「抜く・削る」治療をするように促し、何度も通院させるということです。
これはまさに上で紹介した私の歯医者と同じで、自由診療を勧めるだけでなく、何度も通院しなければならないようになっていました。
そしてもう一つ重要なのは↓です。
患者さんはまず治療の上手・下手に目がいくけれど、その前の『診断』が大切なのです。診断の根拠や治療法をわかりやすく説明してくれる歯医者は、ある程度は信頼できると言える。診断で納得がいかなかったら、治療を受けずにセカンドオピニオンに行ってほしいですね。そもそも歯を削ったり、神経を抜くといった治療を受けるのなら、患者さん自身が、まず『この先生に歯の命を預けていいかどうか』を考えてほしいのです
確かに、もしかしたらその歯医者が言っていることが正しい可能性もありますので、セカンドオピニオンは大切ですね。
幸いなことに、とても良い歯医者に通っている身内がいたので紹介してもらうことにしました。
セカンドオピニオンの結果
早速、新しい歯医者に行ってレントゲンの撮影も含めて診察してもらいました。
前回の歯医者で渡された虫歯の箇所が示された資料は全て持って行きました。
診察の前に面談があったので、今までの経緯を全て話し、日本の歯医者にかなり不信感を抱いたということも正直に伝えました。
言い過ぎかもしれませんが、「歯は削ったら二度と元に戻りませんし、そこからまた虫歯になります。一生ものの自分の歯を歯医者の儲けのために削られるのはごめんです」と言っておきました(笑)
保険診療も自費診療も必要に応じてきちんとやってくれるところで、評判は良い歯医者なのでここまで言う必要は無かったかもしれませんが、私の強い意志を明確に伝えておきたかったのです。
気になる診察結果ですが、妻も私も、「治療しなければならない虫歯はありません」でした。
また、「指摘されていた『虫歯』と言われた箇所は全てCOかC1、あるいはただ汚れが付着しているだけです。こういうのをいじっちゃいけない」と言っていました。
さらにその歯医者は「本当に削るって言ってたんですか?恐ろしいな~」と言っていました(笑)
歯医者が違えばこれだけ言うことが違うというのは驚きではないですか?
結果としては、オーストラリアの歯医者が正しかったということになります。
診察を終えて
私は自分の儲けのために他人の良い歯を削ったり抜こうとする歯医者にものすごく怒ってます。
削ったり抜いた歯は二度と元に戻りませんし、削って弱くなった箇所からさらに虫歯が出来てまた歯医者に行き・・・という歯医者が喜ぶだけの無限地獄に陥ります。
今でも忘れられないのは、私が小学校4年生のときに学校の集団検診でC1の虫歯と診断され、歯医者に行ったら健康な部分も含めてかなりの部分を削られてしまったことです。
何年か後になって詰めたところがまた虫歯になり、さらに削って詰め物をしました。
もちろん銀歯です。
幸い、その部分は詰め物がゆるくなってきているということで、オーストラリアでセラミックにしてもらいました。
大体、オーストラリアでは今時銀歯なんてあり得ません。
その詰め替えた箇所は今回の日本の「削りたがり」の医者では虫歯と判断され、詰め物を取って削りましょうと言われていましたが、セカンドオピニオンの歯医者では何も言われませんでした。
私の子供の頃はネットもありませんでしたし、歯科技術も発達していなかったので仕方がないとは思いますが、現在はそうではありません。
子供が学校の検診で虫歯と言われたからと言って安易に歯医者に削らせるのは、親として無知過ぎで失格です。
大体、自分の儲けのためならこういうことが出来てしまう歯医者は「人間としてどうなの?」と思います。
「命を取るわけでもないし、歯を削るくらい大したことない」と思っている歯医者もいるかもしれませんが、歯の健康は寿命さえ左右します。
上で紹介した記事からの引用です↓
歯が健康であることが、寿命をも左右することがわかってきた。ある調査によれば、80代以上で自分の歯が10本以上残っているか否かで、前者のグループは、その後15年間の生存率が、男性の場合は約2倍、女性の場合は約1・5倍も高くなるという結果が得られた。中高年こそ、虫歯・歯周病対策に力を入れ、できる限り自分の歯を残していかなければならない世代と言えるだろう
つまり、こういった「儲け主義」の歯医者は患者の命を削っているのと同じということです。
正直、刑事罰を加えたいくらいです。
日本の歯医者が結局は高くつく理由
日本の歯医者が「削る・抜く」が好きな理由は保険診療では儲からないからということは既に書きました。
上記の通り、私は日本の歯医者に対して相当怒っていますが、結局のところ、そうしないと儲けが出ずに歯医者を運営していけないという日本のシステムが悪いとも言えます。(だからと言って自分の儲けのために他人の歯を削る歯医者を擁護する気は一切ありませんが)
私がセカンドオピニオンで行った歯医者も「保険診療だけだったらまずやっていけない。うちがやっていけているのは患者が自由診療を受け入れてくれるから」と言っていました。
オーストラリアにも日本の健康保険に当たる保険があるのですが、その保険は歯科には一切効かないので費用がかなり高くなるのが一般的です。
例えば、私は半年ごとの定期検診で、虫歯のチェックと歯垢除去、フッ素を塗る作業で約1万2千円払っていました。
でも検診だけでも患者がこれだけ払うからそれ以上儲けるために意味のない治療をする必要が無いわけです。
これが日本の保険診療だと、「検診は〇〇円」「歯垢除去は○○円」と決められているのでかなり安く済むわけですが、そのために歯医者は儲からない。
良く考えてみてください。
私はオーストラリアで払っていたコストは半年に一度、1万2千円でした。
一方、日本では検診だけなら保険で数百円で済むと思いますが、「削りたがる歯医者」にかかった私への見積もりは30~40万円でした。
そして、一生ものの自分の歯を削ったり抜いたりされ、治療したところがさらに虫歯になってお金を払う羽目になります。
どっちが安いですか?
どっちが健康で長生きできそうですか?
答えは明白ですよね。
だから、「安いから」という理由だけでわざわざ帰国時に住民票まで入れて日本の歯医者に行っている海外在住者は、良く考えたほうがいいです。
また、日本に住んでいる人達で「今の歯医者はやたらと治療したがる」と思っている人は評判の良い別の歯医者にセカンドオピニオンを聞きに行くことを強くお勧めします。
日本の保険制度が「国民が平等に安く医療を受けられるようにする」という目的であるためにこのような制度になっていることは理解できますが・、そのために結局は患者が不利益を被っているのだとしたら本末転倒です。
根幹治療にかける日数の違い
この項目は追記なのですが、今日、前述の新しいほうの歯医者でドクターと色々話をしてきました。
私にはオーストラリアで神経まで治療した歯が一本あり、治療が終わるまで半年もかかってお金もたくさん払ったということは冒頭に書いた通りです。
この歯のレントゲン写真を見てドクターは「神経の先まできっちり治療されていますね」と教えてくれ、その後、ある患者さんの根幹治療の写真を見せてくれました。
その患者さんのレントゲンを見ると、神経のかなり浅い部分までしか治療を行ってないことが見て取れました。
根幹治療は神経に入ってしまった虫歯菌を完全に取り除くため、神経の先まできちんと神経を取り除いて詰め物を充填させなければならず、そこが中途半端だと残った虫歯菌が神経を犯し、痛みが再発し、放置すると最悪の場合は死に至ります。
要するに途中までしか治療できていないのにさっさと終わらせて蓋だけをしただけというのがその患者さんの状態です。
なぜそんな手抜きをするのかと言うと、ちゃんと治療しても保険治療では儲からないから、さっさと終わらせてしまって、次々と患者を流れ作業のように処理していくからだそうです。
オーストラリアでの私の治療のように、一人の患者の一本の根幹治療に半年もかけていたら日本では「なにぐずぐずやってるんだ」と院長から怒られるらしいです。
だから、さっさと浅いところだけ治療して蓋をして終わりにする。
酷い歯医者がいかに日本にたくさんいるか分かるエピソードです。
さらに、そういう治療ばかりをしていると、その医者の技術が衰えてしまい奥まで治療することもできなくなるそうです。
日本の歯医者がなぜ海外の歯医者より安いのか、そして、なぜ結果的に高く付くのか、その理由が分かりましたか?
信頼できる歯医者をどうやって探すか
「それじゃ、信頼できる歯医者をどうやって見つけたらいいの?」というのは大きな問題点です。
私が思い付くのは以下の二つです。
一つは私のように誰かの紹介で行くこと。
もう一つはネットで調べることです。
ネットで調べる時は「削らない歯医者」などで調べてみたらいいかもしれません。
いずれにしても、あとは実際に行ってみて自分で確かめるしかないと思います。
ちなみに、以下のようなことを書いているサイトがありますが、私はそれだけでは判断できないと思っています。
丁寧に、でも普通に話してくれる
話を聞いてくれる
【歯医者が嫌い】信頼できる歯科医を見極める3つのポイントとは?
カウンセリングルームがある
担当医制 or 担当衛生士制で診療している
これらをしない歯医者は論外だと思いますが、これらをやっているからと言って信頼はできません。
なぜなら、私が最初に行った「削りたがる歯医者」は上の4項目は全て当てはまっているからです。
みなさんが、「己の儲けのためには患者の歯を削る・抜くのは仕方がない」と考える歯医者に当たらないことを切に願います。
また、他にも良い歯医者を見つける方法を知っている人がいたら是非教えてください。
私が虫歯とは無縁になったのは超音波歯ブラシを使い始めてからです。手で磨く歯ブラシよりも短時間で済み、歯の表面がツルツルになるので超お勧めです。
気になる人は以下の記事を読んでください。
>>電動歯ブラシお勧め。使い始めてから虫歯が全くできなくなった電動歯ブラシとは。